わたしは病院の薄暗い廊下を歩いている。
彼らの控室のドアが見えてくる。
胸が高鳴り、股間が湿ってくる。
それが、ここしばらくのわたしのお決まりのパターンだ。
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うちの病院の清掃担当者たちは、街で見かける清掃業の人たちとは、なぜか感じが違った。
年齢層は若い。顔立ちも、イケメンといっていいルックスの男も何人かいた。
けれど、わたしは彼らにいい印象を持てなかった。
普通のビルで見かける、愛想のいいやさしそうなおじさんやおばさんたちと違って、彼らは見るからに凶暴そうだった。
病院には、ただでさえ不安をあおる、一種独特な冷たさがあると思っている。
わたしたち看護師や、医師の中にも、いかにも冷たそうな人は少なくない。
けれど、彼らの存在はそれがかすんでみえるくらい異質だった。
ただ、今思えばわたしの側にもかなりの問題はあった。
看護師になるためにかなり苦労したせいもあったが、わたしは内心で医者と看護師以外の病院関係者を見下していた。
自分も新米にもかかわらず、だ。
だから、彼らからみれば、わたしはプライドばかり高い、生意気な女にしか見えなかっただろう。
あんな歪なことになってしまったのは、そのあたりが積み重なった結果だったのだと思う。
彼らの一人がニヤニヤして声を掛けてきたのは、半年ほど前のある夜のことだ。
わたしはちょうど勤務を上がって帰ろうとしていたところだった。
嫌みな女をからかってやろう。
その時点では、彼にしてみれば、それくらいの気持ちだったのだと思う。
皮肉っぽい口調だった。
だが、わたしはそのからかいを許容できるほど、大人ではなかった。
彼らの控室に自分からズカズカと入り込み、彼と差し向いになった。
最初は口喧嘩程度だった。
喧嘩と言っても、わたしが一方的に激高しているだけで、彼はニヤニヤしながらこちらを呆れたように見ているばかりだった。
そこであたしが冷静になっていれば、話はそこで終わっていただろう。
頭に血が上ったあたしは、彼らを侮辱する決定的なことばを口にしてしまったのだ。
さすがに、彼もカチンときたようだ。
「んだと、クソアマが…。お前みたいなのだと、男もやってられねえだろうな。ああ、悪ぃ、いるわけねえなぁ?どんだけ日照ってんだかなぁ?」
ザクッと来た。
看護師になるまでは、男に不自由したことはなかった。
真面目なつきあいも遊びの付き合いも、両手ではとても足りない。
ただ、いずれにしても、関係が長く続いたことはこれまで一度もなかった。
つまり、彼の言葉は真実を突いていたわけで、だからこそわたしには重かった。
黙りこくったわたしに、彼はさらに畳みかけた。
「お、図星か?」
「…ぐすっ」
「お、泣くか?いいぜ泣けよ、いいよなあ女はそういう逃げ道があってよお?」
「…」
「ったくよお、どうせそんな調子だと、毎晩一人でオナってんだろうが、指でシコシコとよお、お似合いだわ」
「…」
「はは、なんだよその目はよお。あれか、男のち●ぽが恋しいかあ?」
「…」
「なんだったら慰めてやってもいいぜえ?…ってああそうか、お前、それ以前だろ?」
「…?」
「処女だろお前。お前みたいな扱いづらい女、相手にする男がいるわけねえもんなあ?」
「…はあ?」
その一言が、わたしをあさっての方向に暴走させた。
処女だと言われることだけは我慢できなかった。
男なんて、その気になればいつでも手に入る。
手玉にとることだってできる。
経験の豊富さだけを根拠に、そう思いながら日々を過ごしていたわたしにとって、彼の言葉は無視できるものではなかった。
結果的から言うと、わたしは彼とその場で関係してしまったのだ。
このカスのような男に、わたしの魅力を思い知らせてやるという一心だった。
一度限りでやり捨てた男も多いので、SEXすること自体への抵抗感は薄かった。
ただ、この1回が悪かった。
「さっきまでの威勢はどうしたよ?ああ?よがり泣いてんじゃねえぞお?!」
「はあん…あ、あんたのち●ぽ、なんかに…感じてるわけ…ないでしょっ…あんっ!」
「説得力まったくねえぞ、お前」
「ひっ…そ、そんなっ…あ、あ、あっ…」
「さっさとイけよ、おらぁっ!」
「ひ、ひああああああっ…!」
テクニックも身体も、これまでの男と格が違い過ぎた。
そう、彼との荒々しいSEXに、わたしは逆にのめりこんでしまったのだ。
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わたしはそれ以来、自分から彼のいる部屋のまわりをうろつくようになった。
彼が気づいて声をかけてくると、餌にありつける犬のように、わたしは憎まれ口をたたきながらもいそいそと部屋に入ってしまうのだ。
まるで、パブロブの犬だ。
ご褒美の内容には大きな違いがあるけれど。
相変わらず人間としてはまったく好きになれなかったが、それでも彼の膨張した欲望を、わたしは自分の中に受け入れ続けた。
そのうち、誘われなくても自分から部屋に入っていくようになったころ、彼は二人目の仲間を連れてきた。
ある日部屋のドアを開けると、彼と一緒に二人目の男が、下半身裸になって待っていたのだ。
「な、なんなのよ、どういうつもり…」
「俺だけじゃきついからな…もの好きな奴がいたから呼んどいたんだよ。感謝しろよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ…」
「お前みたいなぶっ壊れたヤリマンにはちょうどいいだろ?」
彼はニヤついて言った。
二人目も、ペニスをいきり立たせたままニヤニヤしている。
この時点で、わたしはもう彼らにまともな女だと思われていなかったのだ。
性欲に狂った、救いようのない相手。
精液の排出所。
彼らにとって、わたしは多分その程度の存在にすぎなかったんだろう。
立場は逆転していた。
見下されていたのは、わたしの方だったのだ。
その日、わたしは、四つん這いになって犯されながら、もう一人のペニスを口でしゃぶった。
わたしを後ろから突き上げながら、二人目の男が言う。
「おい、こいつ意外にま●こいいじゃんか」
「だろ?ヤってみるとなかなかいいんだよ」
「あの腐れ女がねえ…たまんねえわ。どうやって落としたんだよ、お前」
「そりゃ企業秘密だ…せっかくだからお前も好きなだけ出しとけよ。こいつ出し放題だから」
「ん、んぐふっ…」
「お、おっ…もういきそっ…」
串刺しにされたまま、わたしは膣と口で彼らの精液を受け止めた。
それからは、彼らのシフトに合わせて、わたしは二人分の精液を流し込まれ続けた。
こんな扱いを受けてまで、と思うだろう。
けれど、それでもわたしは彼らの部屋に通い続けた。
告白すれば、わたしは彼らとのSEXを楽しんでいたのだ。
これまで散々男を振り回してきたわたしにとって、彼らに蹂躙されるのは屈辱だった。
けれど、その屈辱こそが、わたしには気持ちよかった。
自分がどんどんダメになっていく感覚が、わたしには新鮮だったのだ。
この頃には、テクニック云々の問題ではなくなっていた。
それまでのものとはまったく違った種類の快感に、わたしはすっかり酔ってしまっていた。
だから、ここまでくると次の展開はもう決まっていたともいえる。
2ヵ月ほど前のことだ。
わたしはいつもどおり勤務を終えると、着替えもせずに彼らの控室へと急いだ。
確か今日は、2人とも出勤のはずだ。
今日は何をされるのだろう。
内心の期待を隠し、わたしはできるだけ嫌そうな顔をしながらドアをノックして、彼らの部屋に入った。
いつも通り、彼らは部屋の中央のテーブルに座って、わたしをニヤニヤと眺めていた。
性欲のはけ口としてしかわたしをみていない。
もっとも、わたしとしても彼らをそうとしか見ていなかった。
お互い様だ。
ちかちかと点滅する、玉切れも近い電球がやたらにわびしい雰囲気で、それがわたしの淫靡な気分を盛り上げた。
ドアを後ろ手に閉めて、彼らに向かって近づいたその時、突然後ろから抱き留められた。
虚を突かれて、わたしは何もできなかった。
かろうじて、視線だけを後ろに向ける。
見覚えがある。
清掃担当者の中でも、とりわけいやらしそうな目でわたしを見ていたブ男。
ときどきは病院内なのに息を荒げていることさえあった。
その男が、わたしの胸をわしづかみにしていた。
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