「おはよ。起きなよ」
「…ああ、悪ぃ…」
「ボーっとしてないで、起きる!」
これは別に夫婦のやり取りではない。俺の家に月に1回決まってやってくる、女の子との会話だ。
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彼女の名前は玲美という。昔から近所に住んでいる俺の幼馴染で、今は近所の保育園で保母をやっている。
そんな彼女がうちに何をしに来るかというと、俺の部屋の掃除だ。
正確にいえば遊びに来ているのだけれど、俺の部屋の散らかりっぷりゆえ、滞在時間の半分くらいは片付けに費やされてしまう。
彼女の方も「掃除の日」と言っているくらいだから、そちらがメインと言っても言い過ぎではないだろう。
もちろん、そんなことは頼んでさえいない。面倒くさいだろうし、それ以前に彼女がそんなことをする義理はない。
それなのに、何か契約でも交わしているかのように、彼女は律儀にやってきては、俺の部屋を片付けていくのだ。
最近は、鍵も渡している。俺は実家住まいではあるけれど、部屋は離れで、母屋からは独立しているのでこれでも問題ないのだ。
「せっかく人が休日潰して来てるんだから…ほんと、園児みたいだよ…」
「そう言われると、ぐうの音もでないな」
浪人生活も長くなり、すっかりズボラさが板についた俺には、それはありがたいことではあった。
申し訳ないとは思うのだけれど、そもそも保母になったのも面倒をみるのが好きという性格かららしいから、その延長なのかもしれない。
その好意に甘えて、俺はこの生活を続けている。
ただ、もちろん彼女の方も、ボランティアでこんなことをしてくれているわけじゃない。
スレンダーな身体を俺の目の前で動かして、彼女は手際よく部屋の整理を進めていく。
エプロンを着けてかいがいしく働く彼女は、派手めな外観ではあるけれど、やはり保母という雰囲気だ。
濃いメイクのせいで少しキツい印象になっているけれど、よくよくみれば優しい顔立ちをしていて、この分なら子供たちにもさぞかし好評だろう。
本人の言ではあるけれど、実際に園児はおろか、保護者の評判も悪くないらしい。
ただ、エプロンの下の服装に目をやると、保母という感じはきれいさっぱり消え失せてしまう。露出が多すぎるのだ。
もちろん仕事着じゃない。仮にこんな服を仕事中に着ていたら、クレーム間違いなしだろう。
特に、スカートに至っては股下ぎりぎりの長さしかない。
部屋の整理にこれ以上不向きな服装もない。すこし姿勢を崩したりすれば、それだけでチラチラと下着が目に入ってくる。
だが、玲美にしてみれば、これも計算づくだ。本人の言葉を借りれば、気分が盛り上がる、らしい。
「ほら、動いて!布団干すから!さっさと片付けて、はやく楽しも?」
「…はは、…あのさあ、本当に疑問なんだけど…お前いつからそういう趣味になったわけ…?」
「何度も言ってるでしょ…前からあたしはこうだよ」
そうは言うが、幼い頃の玲美を知っている身としては、最初は信じられなかった。
だが、事実は事実だ。彼女は超がつくほどのセックス好きなのだ。
さらに言えば、玲美は、俺の幼馴染であると同時に、セフレでもある。
浪人生が何をやってんだと思われるかもしれないが、なりゆきでこうなってしまったのだ。
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幼馴染とはいっても、玲美は俺はだいぶ歳は離れていて、5歳くらいは違うはずだ。
なんでそんなに歳の離れた子と仲良くなったのかというと、子供の頃、いじめられっ子だった彼女を助けたのがきっかけだった。
大したことをしたわけじゃない。年齢差があるうえ、俺は昔から身長だけは高かった。
運動神経は皆無だが、この条件なら割って入るだけでも、相手にそれなりの威圧感は与えられる。
人相があまりよくないのもこの時ばかりは幸いした。
何を言ったわけでもないのに、いじめっ子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去ったのだ。
玲美はそれから俺にやたらくっついて回るようになった。
一度は助けたものの、それで彼女の人間関係が改善されたわけではなく、彼女はやはり独りぼっちだった。
だから、彼女にしてみれば、歳が離れているとかそんな贅沢を言っていられる状態じゃなかったんだろう。
彼女の内心はともかくとして、俺は一人っ子だから、妹ができたようでうれしかった。
とはいえ、年齢差という奴は、友人関係を長く続けていくには障害になるのも確かだ。
時間も合わなくなってくるし、環境も変わっていくからだ。
数年は一緒に遊んだものの、やがて俺が高校に入るあたりを境に、関係は疎遠になっていった。
そして、さらに数年がたった頃、彼女はすっかりギャルになっていた。
もともといじめられてしまうくらいにおとなしい子だから、多分その反動が一気に来たのだろう。
ヤンキーやチーマーとは違ってグレているというほどではない。単に派手なだけだったが、その派手さは、揺り返しゆえか相当なものだった。
人によっては眉を顰めるほどの姿ではあったけれど、悪さをしているという話も聞かなかったし、俺から見ればかわいいものだった。
むしろ昔を知るものとしては、明るくなったなあ、と少し安心したくらいだ。
ただ、俺とは別の世界に幼馴染が行ってしまったという寂しさは禁じ得なかった。
俺はその頃受験にも失敗していたし、個人的にも色々あって、すっかりネクラになっていたからだ。
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俺の志望は医学部だ。
うちの家系は開業医で、俺が親の後を継ぐというのは我が家では既定事項のようなものだった。
だから、両親も他の兄弟たちもそのつもりで将来設計をしていた。
だが、肝心の俺はと言えば、もともとの成績が悪い上に、向いているという気もしていなかった。
その結果がこの体たらくだ。家族全員が俺のふがいなさに落胆したわけだが、だからと言って今更他の道は選べなかった。俺が進路を変えれば、他の兄弟にまで影響が及ぶ。
さらに悪いことに、浪人をのらりくらりと続けさせることができるだけの金を、親は持っていた。
だから、今に至るまで浪人という身分を続けているのだけれど、そもそも最初の年からして気分は完全に落ちていた。
当然自己嫌悪も激しかった。なまじ親が金持ちなだけに、それに頼り切った立場の自分が、余計にふがいなく思えた。友人にも顔向けできない気分で、浪人してからは同年代の連中にもロクに会っていなかったのだ。
そんな状態だったから、年下で、しかも完膚なきまでのギャルになった玲美に関してはなおさらだ。
彼女と再び友人として付き合う事なんて、金輪際ないだろうと思っていた。
そんな予想が覆されたのが、今年の春先のことだ。
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浪人にも、気分転換は必要だ。
とはいえ、家族の手前、派手に遊んだりはできない。だいたい、金を持っているのはあくまで親であって、俺個人は金欠もいいところ。遊ぶなんて不可能だった。
必然、金のかからない過ごし方が主になる。
俺の場合は近所を散歩するくらいだった。見た目は引きこもり同然の俺だったけれど、外に出るのは嫌いではない。
だから、散歩するひとときは、一日の中でも割と楽しみな時間だった。
毎日歩いていると、自分がこれまで足を向けなかった方向にもいってみるようになる。
その保育園の前を通りかかったのも、たまたま足が向いたにすぎなかった。
特に何も考えずに歩いていると、遠くから子供たちの声が聞こえてきて、何だろうと思っているとたどり着いたというわけだ。
保育園が足りないという話はよく聞くけれど、なるほど、庭に出ている園児たちだけでもなかなかの盛況ぶりだった。室内で保育されている子もたくさんいるだろうから、全体の園児数はかなりのものだろう。
それに、元気さが違う。敷地内にあふれる活気は相当なものだった。
俺はつい、その光景に見入った。怪しいこと極まりなかったろうが、別に他意があったわけじゃない。
ただ、子供たちを見ていると昔のことを思い出して、郷愁に襲われたのだ。
あの頃はよかったなあ。
大して覚えていることもないくせに、俺はそんなことを考えていた。
ふと、一人の保母がこちらをじいっと見ているのに気が付いた。
なんとなく、どこかで会ったことがある気がしたが、誰だったかが思い出せない。
それに、相手がどういうつもりでこちらを見ているかもわからない。不審者だと思われているのだとしたら心外だが、その可能性は十分ある。
早めに消えるか…そう思って、立ち去ろうとしたときだ。
いきなりその保母が、手を振りながら足早にこちらに近寄ってきたのだ。
どう見ても、不審者に対するリアクションじゃない。
どうしたものか判断しかねていると、保母の方からフェンス越しに話しかけてきた。
「あれ、久しぶりー。今、どうしてんの?」
「??誰…って!」
髪型などに全く面影がないので気づかなかったが、間近で見たその顔には明らかに見覚えがあった。ギャル時代の影響の方が濃いので、かつて遊んだ彼女の姿とは似ても似つかなかったけれど。
玲美は、すっかり大人の女性という感じの雰囲気になっていて、久しく女の子と接する機会のなかった俺は正直反応に困った。
「なによ、もしかして、忘れちゃった?」
「い、いや、まさか。びっくりしたよ…」
けれど、その困惑は、決して嫌な感覚じゃなかった。
昔馴染みとの再会なんて状況は初めてだったけれど、こんなに嬉しいものなのかと驚いたくらいだ。
心の中に、温かいものがポカポカと湧いてくる。純粋に、喜ぶべき再会だった。
玲美もニコリと笑った。
真顔だとあまりわからなかったが、笑顔になると、どこか気弱そうな、繊細な顔立ちはあまり変わっていない。
ただ、なつかしさの一方で、エプロンを押し上げている胸の膨らみについ俺は目を惹きつけられていた。
あの頃との時間の経過を感じさせる、身体の線。
そこから目を引きはがすのには、かなりの精神的な努力が必要だった。
この段階で、俺はもう彼女に対してかつてとは違った関心を持っていたのだ。
だから、どうやっても昔通りの無邪気な関係とはいかなかっただろう。そこまでは、俺もこの時点でわかっていた。歳を重ねた以上、それはむしろ当たり前だ。
ただ、そうはいっても、今のような関係までは想像さえしていなかったけれど。
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