テーブルの上で唇を触れ合わせたまま、わたしたちはしばらくじっとしていた。
S君は呆然としているんだろうか、身じろぎさえしない。
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「ぷはっ…」
けれど、さすがにそのままの形で固まっているのにも限界があった。
どれくらいキスしていたのか、呼吸が少し辛くなってきたところで、わたしたちは唇を離した。
「せ、先輩…なんで、いきなり…」
すっかり彼は動揺していた。
表情はすっかり崩れている。
さて、ここからどうするかだけど。
「何となくね。嫌だった?」
「い、いえ、嫌じゃないですけど…俺みたいなのに…」
「自分を責め過ぎ」
「え?」
わたしは、ストレートに切り込むことにした。
彼には、変なごまかしとかはしない方がいいように思えたからだ。
「あなたの価値観を否定するわけじゃない。でも、それなら諦めが肝心だよ」
「諦め、ですか」
「そうよ。世の中も、自分に対してもね。そんなに思い通りにはいかないってことは、もうわかったでしょ?」
「でも…」
「わたしにしたってね、こんな感じで平気でキスもするし、もちろんHだってするし。納得はできないかもしれないけど、それはあなたにはどうしようもない話でしょ?」
「まあ、そうですね…」
「それなら、逆にあなたがわたしに興奮したって言っても、それは本能なんだから仕方ないって思わない?」
「…うーん…それは俺的に…」
「だから、そこはもう理想通りにはいかないものなんだって。それだけなら、セクション長なんかより全然マシだよ。それにね」
「え?」
わたしは、もう一度彼の唇にキスをした。
「んんっ…」
彼はまた唸るような声を上げたけれど、その声はさっきよりもずっと短く、おとなしかった。
今度は、短時間で離す。
「少なくとも、わたしは話聞いてもあんまり嫌な感じしなかったよ」
「そ、そうですか…」
「どっちかっていうと、ちょっと興奮したかな」
「えっ…」
「わたしはだけどね。でもね、そういう奴もいるってこと。あんまりガチガチに考えても、当てはまらないことの方が多くて苦しいと思うよ」
「そんなもんなんですかね…」
「そんなもんだよ。まあ、わたしが言っても、仕方ないことなんだけどね…」
わたしはそう言いながら、身体をごそごそ動かして彼のそばに近づいていった。
「せ、先輩…?」
彼が震える声で言うのを、目の前で聴く。
わたしは四つん這いで、座っている彼の顔の真ん前までにじり寄っていた。
至近距離で見た彼の顔は真っ赤で、よくよく見るとまだ少しあどけなかった。
「あ、あの…」
「ねえ、S君」
「はい?」
「わたし、あなたとしたいなって今思ってるんだけど」
「えっ…えっ…?」
「一度だけね。嫌なら別にいいんだけど」
「あ、あの…どういうつもりっすか…?」
「あなたがわたしで興奮したって言ったから。それじゃ理由にならないかな?」
「そ、そういうのって、ありなんですか…?」
「だから、わたしの場合はね」
「…ああ…先輩は、ってことですか…」
「そうそう。こういう女もいるってこと。ごめんね、こんなノリで」
「い、いえ…」
「それで、どうする?任せるよ。あなたの価値観とは外れると思うけど」
ブルブルと震える、S君の手。
その手を、わたしはギュッと握りしめた。
「あったかい手だね」
「…先輩」
「なに?」
「つきあうの前提じゃ、ダメですか?」
「ダメ。あなたはもう、わたしとは関わらない方がいいよ。だから一度だけって言ったの」
「そう…ですか」
「かえって未練がわいちゃう?」
「そりゃ…!」
しばらく彼は逡巡していた。
わたしはそれをじっと待った。
やがて、彼はポツリと、でもきっぱりと言った。
「…お願いします。俺、やっぱり一度だけでも、先輩としたいです」
「…ごめんね。最後までロクでもないことしかできなくて」
わたしはそういって、さらにもう一度、彼に唇を重ねた。
できるだけやさしく、彼のズボンの上に手をやる。
真ん中に、ごりっとした感触の突起物があった。
「し、舌…すごいね…そんなに興奮する?」
「は、はひ…っ」
わたしは制服を着て、四つん這いになっていた。
S君のリクエストだ。
一度だけなんだから、できるだけ好きなことをさせてあげる。
そう言ったら、彼は壁にかかっていた制服を指さしたのだ。
どうやら、あれを着たわたしの姿が、彼にはことのほか好みだったらしい。
彼は今、後ろから制服のスカートをまくり上げて、わたしの太ももの付け根あたりを無心に舐めまわしていた。
時々下着を持ち上げて、お尻にも舌を這わせて来る。
そんな感じだから、下着にも彼の唾液がベトベトとつくのが分かったけれど、わたしは何も言わなかった。
彼のあまりの熱心さに、わたしも相当に身体が熱くなっていたからだ。
この調子だと、どうせもう下着は濡れているだろうから、少々唾液がつこうがあまりかわらない。
「もしかして、ずっとこんなこと、したかったの?」
「はいっ…できることなら…したかったです…」
「そう…今日は、我慢しなくていいからね」
「はい…」
しばらく、ちゅぶちゅぶと舐める音が続いた後、彼はわたしの下着に手をかけ、ゆっくりとおろした。
「先輩…」
S君が感極まったような歓声を上げた。
振り返ると、四つん這いの私の後ろで、彼はわたしの股間をじっと凝視して、目を見開いていた。
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「…もしかして、じっくり見るのはじめて?」
「はい…昔の彼女と一度だけしたんですけど、その時はちゃんと見なかったので…」
「そう。ちゃんと見たら、なんか気持ち悪くない?」
「いえ!…うまく言えないんですけど…ちょっとぷっくりしてて、すごく、こう、なんていうか…」
「やらしいってこと?」
「ろ、露骨ですね…」
「あなたの言い方も相当だよ…でも、そういうことを言いたいんでしょ?」
「…まあ、そうです」
「どうする?ここ、一応準備はできてるんだけど…もう挿れたい?」
片手を回して、左右から拡げてみせる。
目を見開いた彼は、無言で首を何度も縦に振った。
「んんっ…」
中に入ってきた彼のおちん●んは、ものすごく熱かった。
取引先の相手とは、全然違っていた。
なんていうか…エネルギーが違うっていうか…
「あっ…」
「んっ…」
お互いの股間がぴったり密着したところで、わたしたちは、ほぼ同時にあえぎ声を漏らした。
わたしは、制服のタイトスカートを腰までまくり上げて、脚を開いて彼を受け入れている。
正常位だから、目の前に彼がいる。
わたし自身はこれまで正常位にこだわりはなかったけれど、S君の気持ちよさそうな顔を見ると、つい顔がほころんでしまう。
こういう感じもいいなあと思った。
「ね、ねえ…あなた、いつからわたしをこんな風にしたいって思ったの?」
「…言っていいんですかね…入社してすぐくらいからです…」
「そっか…じゃあ、だいたいもう半年くらい、そう思ってたんだ」
「それがなにか…?」
「ううん、ちょっとね…」
半年。エネルギーもたまるはずだ。
彼の半年分の欲望を胎内に収めて、わたしはひとり納得していた。
「じゃあ、動きますね…」
「うん…んんっ…」
遠慮がちな、ゆっくりした動きだったけれど、やっぱり全然違う。
一突き一突きに、S君の情念がこもっている気がした。
大きさも形もごく普通なのに、中で動いている存在感が違う。
わたしは早くも、息が荒くなってきた。
「はぁ、ああっ…くっ…」
「い、痛いですか?」
「全っ然…すごくいいよ…」
彼が動くたびに、わたしは震えそうなほど気持ちよかった。
「んんっ…ね、ねえ、もっと好きなように動いてもいいんだよ…」
「いえ、俺は…本当に先輩とこういう感じでしたかったんです」
「そう…」
「もっと動いた方がいいですか?」
「そういうわけじゃないよ…あなたがしたいかなって思っただけ…んっ…」
「せ、先輩っ…」
彼は、腰を振りながら、わたしのベストをはだけ、ブラウスの上から胸を刺激してきた。
「あんっ…も、もうっ…なんか、凝ったことしちゃってっ…んっ!」
「すいません…先輩、やっぱり制服姿、すごくHですっ…」
「そ、そんなこと言われたらっ…ん、あんっ…あ、ぐりぐりってするぅっ…」
「んっ!せ、先輩っ、…中、急に、なんか…」
「そ、そう…今、すごくよかったの…だから、もっとおちん●んぐりぐりしてっ…」
「は、はい…っ」
入れたときから皺になっていた制服が、ますます乱れていく。
身体が、無意識に明後日の方向に動いて、自分でも抑えることができなかった。
だんだん、目が自然に薄目になっていく。
感じたときのわたしの癖だ。
うっすらとぼやけた視界に、眉間にしわをよせて一生懸命腰を突きだすS君の姿があった。
ああ、本当にいい後輩だったな。
そう思った途端、わたしの中は急に高まっていった。
わたしはS君に抱き着いた。
脚を彼の腰に回し、思い切りしがみつく。
勢いで、彼のおちん●んがそれまで以上に深く、ズブリと私の奥深くめり込んだ。
「あっ!…あ…ああっ…」
「せ、先輩、どうかしました?」
「う、うん…んっ…き、きてるのっ…」
どんどん温度をあげていく、わたしの中の何か。
多分、わたしに挿れている彼も、感じるものはあったと思う。
速さは変わらなかったけれど、一突きの重みがグッとました。
圧力が一気に高まる。
「も、もうわたし…だから、最後まで好きにして…」
「先輩っ…先輩っ…っ!」
「あ、あんっ、いいよ…S君、おちん●んいいよっ…」
「せ、先輩も…おま●こ、ぬるぬるして…俺も、たまらないですっ…!」
「S君…いこっ…!」
「はいっ…!」
わたしの一番奥で、S君の熱いものが弾けた。
流れ出す彼の液体を感じたとき、わたしの中からもどっと何かが溶け出すのを感じた。
「んっ…!…っ!………………………っ!」
最後はもう、声にならなかった。
気持ちよさもそうだけれど、何より感極まっていたからだ。
膣内で精液と愛液がドロドロに混ざりあっていく。
はあはあと激しいS君の呼吸が聞こえる。
それを感じながら、わたしはまどろむように、自然に目を閉じた。
「あー、やっぱり、これはクリーニング出し直しだなあ」
「すみません。わがまま言っちゃって」
「冗談よ。いいの。どうせ大した手間でもないし」
事が終わって、わたしたちはベッドの上で起き上がって、後始末をしていた。
彼の精液がまだ中から漏れ出してきていたけれど、わたしは彼の欲望を受け止めた満足感で、あまり気にしていなかった。
「先輩、しつこいかもしれませんけど、やっぱり付き合えませんか?」
「ダメ。多分、あなたにとってもよくないよ。もう吹っ切らなきゃ」
「そうですか…わかりました」
「そうそう、それよりこれからのことだよ」
「これからかあ…うーん」
「どうかした?」
「いえ、先輩のことをみてたら、少し怖くなったっていうか」
さっき少しは話せたけど、あの程度で悪感情が消えるとはわたしも思っていなかった。
少し考えてから、わたしは言った。
「そうね。どんなに頑張ろうと、足を踏み外したらこんなものよ」
もうきれいごとを言う気はなかった。
そんなことを言っても、不信感を持っている彼には何の意味もないだろう。
「身も蓋もない言い方ですね。それ、余計怖くなりますよ」
「…だから。言いたいのは、あなたはわたしみたいに自分から脚を踏み外すようなことするなってこと。なんとしてもね」
別にわたしだって、社会経験が豊富っていうほどじゃない。
単に新卒の子からみれば先輩と言われる程度の人間なのだから。
だから、それはわたしが限られた経験からかけられる精一杯の言葉だった。
「…はは、僕、そんな中でやってけるんですかね…今、こんなに何もできないのに」
「色々あるとは思うよ。でも、道を踏み外さないだけならだれでもできるから。それにね」
「?」
「なんでわたしが懲戒になったと思う?」
「そりゃ…セクション長が…」
「そうじゃなくて。もっと直接の理由よ」
「…ああいうことを、したから…ですかね」
「正解。でもさ、それって、めったにない悪いことっていう前提があるから、懲戒になるわけでしょ?」
「あ…」
「わたしがやったことは、大人の社会でだって普通はありえないことなの。だからこういうことになったんだし」
「…」
「わざわざそんなことしなくてもやっていける会社は、多分いくらでもあるからさ。うちが嫌でも、今のうちなら手は打てるし。どっちにしても、悲観することはないわよ」
「…」
気持ちが通じたかはわからない。
ただ、彼は弱々しいものではあったけれど、笑いを浮かべた。
「…すいません。今日は本当に見苦しいところをさらしちゃって」
「わたしこそ。…ガッカリさせちゃったね」
「いえ、とんでもない!…俺の方こそ、ありがとうございました」
その顔からは、最初に見せた自虐的な色は消えていた。
最後に、ようやく先輩らしいことができたかな。
彼の顔をみながら、わたしは心底ホッとしていた。
約束通り、それを最後に彼には会っていない。
わたしはというと、予想通り相当苦労はしたけれど、どうにかある小さな会社に潜り込むことができた。
仕事自体は以前と似た内容なので、つい時々あの会社のことを思い出してしまうこともある。
それでも吹っ切れているのは、最後にS君に対して最低限の義理を果たしたって思えたからだろう。
そう考えると、実はわたしは、逆にS君に救われたのかもしれない。
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