つい半年前から、俺はある女性と付き合っています。
ただ、恋人というわけではなく、文字通り身体だけの関係です。本当にセックスするだけなので、セフレという呼び方さえ微妙かもしれません。
しかも、相手が相手だから誰にも言いづらくて。
その女性は、会社の後輩の姉なんです。
お互い大人だからやましいことがあるわけじゃないですが、ちゃんと付き合ってるならまだしも、身体だけの関係となるとやっぱり言えないですよ。
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そもそも接点も何もない彼女となんで知り合ったというと、会社の新人育成方針が原因でした。
うちの会社は大手ではありませんが、戦後すぐから続く老舗で、安定した業績を上げています。
そういう会社だからか育成方針も昔気質で、先輩がマンツーマンで付きっ切りで指導しながら、慣れたあたりで少しずつ現場に出していく感じなんです。
この方針自体は俺も好感を持っているんですが、いざ自分が教える側に立つと、話は全然違いました。
それまで教わる側だったから気づいていなかったんですが、俺は極端なまでに教え下手だったんです。
後輩自身はいたって真面目な奴だったんですが、俺の言いたいことがうまく伝わっていないことは見ていればわかりました。
教え始めて1週間たたないうちに、俺は今後に不安を覚えはじめました。
このまま俺が教え続けたら、いつかとんでもないことになるんじゃないかと思ったんです。
俺は上司に、なんとか他のメンツに教師役を変わってもらえないかと相談してみました。
もちろん、代役の普段の仕事は肩代わりするという条件をつけて。
少々無茶ではありましたが、普段割と融通のきく会社だけに、俺はなんとか通してくれるものと踏んでいました。
ところが、この時に限ってうちの会社は頑固でした。そんなことはまかりならんという返事だったんです。
俺は不意を突かれた気持ちでしたが、断られてしまったものはどうしようもありません。
こうなると、後輩が理解してくれるまで時間をかけるしかありませんでした。
そうなると就業時間はおろか、少々残業したくらいでは到底時間が足りません。
その上、うちの会社は残業にいい顔をしないので、あまり残るわけにもいきませんでした。
仕方なく俺は率直に後輩に率直に現状を伝えることにしました。先輩としてのメンツは立ちませんでしたが、この先どうなるかを考えたらちっぽけな問題です。
その結果、俺は会社で教え切れない分を、彼の自宅に通って家庭教師よろしく教えることになったんです。
もちろん俺が言い出したわけじゃありません。後輩自身の希望でした。
ある意味では会社に残るよりも見上げた根性です。そういう奴だからこそ俺もそこまでやる気になったんですが。
ただ、そんな事情で通い始めた後輩の自宅で、俺は思いもよらない収穫を得ることになったんです。
それが彼女―――後輩の姉との出会いでした。
「お帰りなさい…あら?その方が先輩?」
「ああ。しばらくリビング借りるよ…先輩、うちの姉です」
「はじめまして。夜遅くにお邪魔してすみません」
「いえ、こちらこそ…弟がお世話になってます」
そんなやり取りをしながらも、俺は彼女をあやうく凝視しそうになるのを必死にこらえました。
一目惚れとまでは言いませんが、それに近かったです。
和風美人というんでしょうか、しなやかな細身の身体つきや、つつまし気な表情は、俺の理想そのものだったんですから。
自制が効いたのは、彼女が後輩の姉だという、その条件があったからこそでした。
そんな具合でしたから、お茶を出してくれたときに彼女からふんわり漂ってきた香りにさえ、俺は年甲斐もなく胸を高鳴らせました。
後輩には悪いんですが、初日は上の空でした。
それでも形だけなんとか取り繕う形で、俺はその日の指導をなんとかやりおおせました。
「お疲れ様です。弟のためにこんな遅くまで…」
「いえ、こちらこそお邪魔しちゃって。申し訳ないです」
帰り際、彼女は俺に声を掛けてくれました。
「またいらっしゃるんですよね」
「ええ。しばらくお伺いします。ご迷惑かと思いますが」
「いえ全然。こちらこそよろしくお願いします」
後輩以上に深々と頭を下げる彼女に挨拶をして、俺はなんとか穏便に後輩の家を出ました。
ですが、家に帰って眠りにつくまで、彼女のことが頭から離れませんでした。
さて、これからどうするかな…その日の不出来な指導ぶりを反省しながら、俺は今後どうやって上の空にならないかを考えました。
それでも、ふと彼女のことを思い出すたびに、気持ちが乱れるのを抑えられなかったんです。
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後輩への自宅への訪問は、結局数ヶ月に及びました。
だんだん慣れてきたせいか、3回目くらいからは、俺は後輩の指導に集中できるようになってきました。
それでも、彼女がお茶を持って現れると、途端に気が散るのはどうにもなりませんでしたが。
何度もお邪魔するうちに、彼女と会話を交わすこともちらほら出てきました。
ちょっとした時間に軽く言葉を交わす程度でしたが、それでも俺にとっては楽しみな時間でした。
「親が知ったら喜びますよ。こんな面倒見のいい先輩で」
「とんでもないですよ」
後輩の家で、親御さんを見かけることは一度もありませんでした。
デリケートな問題かもしれないのでこちらからは聞けませんでしたが、彼女の方から言い出しました。
「うちの親、退職してから田舎に引っ込んでて。憧れてたらしいですよ」
「ああ、スローライフってやつですかね」
「ええ、それ。あたしも少しそういうの、うらやましいなあって思いますね」
「姉ちゃんはそれより、仕事見つけろよ…」
どうも、彼女は転職活動中のようでした。
聞くところでは、前の会社で大々的なリストラがあったらしく、次を探す間もなかったようです。
「わかってるって。あなたこそちゃんと仕事、覚えなさいよね。せっかく先輩来てくれてるんだから」
「はいはい」
姉と弟のふたりの会話になると、さすがに彼女の口調もやわらかくなります。
そんな会話を聞きながら、俺はむずかゆいようなうらやましいような、もやもやする気持ちを味わっていました。
こうなると、欲もでてきます。
なんとかもっと仲良くなりたいというのは、自然な感情でした。
とはいえ、後輩の指導以外で会う機会がない以上、当然彼女と話す時には2人だけでというわけにもいきません。
もちろん、やろうと思えばそういう場に誘うことは可能でしょうが、俺の立場上それははばかられました。
正直なところ、不純なことも考えなくはなかったですが、俺はなかばあきらめていたんです。
そのまま指導が最後まで行っていれば、俺と彼女はそれっきりだったでしょう。
そうならなかったのは、指導も終盤に差し掛かったある日のクレームがきっかけでした。
その日は休日でした。惰眠を貪っていた俺は、けたたましい携帯の着信音でたたき起こされました。
電話なんて仕事以外ではろくに使っていない俺です。逆に言えば、携帯が休日に鳴るなんて、十中八九、ろくでもない話でした。
眠気が一気にとび、慌てて携帯を獲ると、予想通り上司の声が聞こえてきました。
用件は、週末に後輩と二人でこなした仕事についてでした。
今朝になってクレームが入ってきたというんです。
上司は既に、先方に向かっているということでした。
内容を聞く限り、後輩ではなく明らかに俺のミスでした。
「俺、今からでも先方に行った方がいいですかね」
「いや、それは俺の方でやっとくからいい。来週、改めて挨拶してくれ。それはいいんだが…」
「なんですか?」
「資料、今手元にあるか?事務所に寄ったんだが見当たらなくてな。てっきりお前が持ってるのかと思って」
しまった、と思いました。金曜、例によって後輩の自宅でフィードバックをするときに、俺は彼の復習用にと思って、資料一式を丸ごと彼に渡してしまったんです。
俺の方はもう頭に入っている仕事だったからですが、油断もいいところです。
「すみません、後輩に持たせてまして」
「わかった…正午までに連絡つくようだったら電話くれ。間に合わないなら仕方ない。俺の方で釈明はしておくから」
「申し訳ありません、俺の落ち度です」
「今はいい。どうせ来週色々言われるだろうから、今日のうちにしっかり休んどけ」
そういって電話は切れました。
俺はそのまま後輩の携帯に電話を掛けましたが、その日に限って通じません。
…仕方がない。状況からいって、四の五の言っていられない。
俺は、電話番号だけ知っていた、彼の自宅電話にかけてみることにしたんです。
プルルル…プルルル…ガチャリ。
「はい、もしもし…」
ききなれた、そして俺にとっては理想の女性の声が、受話器の向こうから聞こえてきました。
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カテゴリ:エロ体験談その他(男性視点)